COSINA Voigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL IIS(ブラックリム)



以前から気になっていたレンズだったが、既にニッコール58mmf/1.4Gがあるので購入を躊躇っていた…のだが、「消費増税前」という魔法の言葉につられてついに手を出してしまった…
自身初の完全金属外装・完全MFレンズだ。現状手持ちのレンズは全てプラスチック外装のAFレンズだったので何か一本持っておきたいと思い、ほぼ見た目の良さだけでこのレンズを選んだ(どのみちOtusには到底手が出ないのだし…)。



中身はレンズ本体と保証申請書のみ(コシナは購入証明書と一緒に申請書を送付しないとメーカー保証を開始しないらしい)。レンズフード等オプションは一切付属せず。レンズ自体が小さめなので箱も小さくてちょっと驚いた。
開封した途端、何とも言えない油っぽい臭いが鼻についた。おそらくヘリコイドグリスによるものだろう。AFレンズにはない特徴だ。

なお、シリアルナンバーはAFレンズによくある鏡筒側面ではなく、マウント面の銀色部分に白字で印字されている。着脱を繰り返すうちに摩耗して消滅しないかやや気がかり。



手に取ってみると小ささが際立つ。ネット上で各所でレビュー記事を拝見して抱いたイメージからはかけ離れた大きさだったので面食らった。
似たスペックの純正5814Gとはなんとここまで大きさが違う。ただし金属外装である分密度感はNOKTON58の方が上等(重量もほぼ同じなので猶更)。

しかしこの外観の良さには惚れ惚れする。特にF11の指標。緑色が大好きな私には訴求力抜群である。これが無ければ多分このレンズを選ぶことはなかっただろう(まあ実際の撮影でこの絞り値を使うことはまずないだろうけれど…)。

このレンズ、大元はかなり以前にリリースされ、何度もリニューアルを繰り返しているとか。そして最新外装リニューアルを期にAi-s時代のニッコールをオマージュしたデザインにしたという。単なるアルミ地に黒色塗装仕上げだった純正Ai-sとは異なり、こちらはアルマイト仕上げになっているらしく、擦り傷への耐性は高まっているようだ。
先代がフィルター径58mmだったのが、こちらでは52mm(昔のニッコールが統一していたサイズ)にまで縮小されてしまっているが、縮まったのは前玉以外の余白の部分なので実際の光学系には影響しないらしい。むしろレンズ銘刻印がフィルター枠外に弾き出されている分フィルターによる悪影響は小さくなっている…のかもしれない。ちなみに後発で同じようにリニューアルされたUltron40mmF2の方は何故か刻印が枠内のままになっている謎基準である。



インナーフォーカス式ではないので、最短撮影距離に近づくにしたがって鏡筒が伸びる。そして後玉も引っ込む。シーリングもないため、防塵性能はないに等しいと考えていいだろう。
特筆すべきはフォーカスリング。充填されたグリスによって非常に滑らかに回る上に、回転角は300度弱もある。これはMFが楽しく快適になりそうだ。カチカチというクリック感を伴って回る絞りリングも弄っていて楽しい。この手触りでの愉しさは最新のAFレンズには最早欠片も存在しない。

コーティングがニコン純正とは異なるため、レンズ鏡筒内はオレンジ色に光るのも大きな特徴。
絞り羽根は9枚の円形絞り…のよう(公式には円形絞りなのか通常絞りなのか明記されていない)なのだが、結構歪な感じなのが残念(右画像はF4まで絞っている)。この点、5814Gは同じ9枚絞りでもF4程度ならまだ上質な円形を保っている。やはり価格なりの差はある。

※実写にはまだ持ち出していないので随時追記。

※8月9日追記



とりあえず恒例の開放最短。ねんどろいど霊夢Ver.2.0。D850にて(※トリミングなし)。
最短撮影距離は45㎝と5814Gより短いため、小物類にもそこそこ使えそう。

驚いたことに、少なくとも中央部分に関しては開放F1.4からD850の画素ピッチにも十分対応できている。残存収差によるかすみは多いが、解像の芯はきちんと出ている。これは完全に予想外だった。
特殊硝材は使用されていないため、等倍で見ると輝度差の激しい場所にフリンジが見られる。

なお、この3枚はニコンのスプリングフードHS-14を装着した状態で撮っている(某所で流用可能であると拝見したため同時購入した…コシナ純正は無駄に高価なので避けた)。ただ、フィルターの厚み分フード深度が増しているため、ケラレが発生している可能性がある(四隅の落ち込みはケラレか周辺減光によるものか判然としない…)。

※追記
後日晴天屋外で空を絞って撮ってみたところ四隅が黒く落ち込んだため、やはりケラレだったと判明。やはりフィルター分の厚みでケラレてしまっていたようだ。
お陰でHS-14はお蔵入り確定…新しく短めのHSフードを買いなおさなければならなくなってしまった。



晴天屋外にて適当に何枚か。いずれも開放付近近接。
ボケに関してはそこそこ二線ボケ傾向がある。この点は明らかに徹頭徹尾ボケ味に拘っている5814Gの方が圧倒的に優秀。だが嫌味はあまり感じられず、十分癖による「味」として許容できる範囲だ。
発色は評判通り結構濃く、色乗りが良い。独特のボケ癖と合わせて、なんだかアナログ放送時代のテレビ画面を彷彿とさせるような印象である(純正の方はデジタル放送)。端的に言って「レトロ」。一切使ったことがないので詳しくは知らないが、フィルム時代の交換式レンズは得てしてこんな写りだったのだろう。

※8月10日追記
本格的に屋外に持ち出して撮影。とはいえ朝っぱらからあまりに熱気が酷いので短時間だけに留めた。
まだ使い込めていないので評価は暫定的。



やはり発色に関しては評判通り。色濃く写るので何気ないものでも感動的になる。
そして意外にもF2程度でもやや離れた被写体に対しても十分な解像度を発揮するので、同じく色乗りに定評あるマイクロ60とも役割が完全に被ってしまうということもない。



ただし、ボケは少々扱いづらい。何しろ絞ってもボケ質の改善があまり見られないのだ。
特にメイン被写体から僅かに前後する小ボケ領域は、どの絞り値でも草枝のようなゴチャゴチャしたものが入ると確実に二線ボケが生じる。この点でニッコールf/1.4シリーズのボケ描写がいかに凄まじいかを否応なく思い知らされることになった…



一番気がかりだった遠景解像。幸いなことに5814Gと違って中央と周辺で著しい落差が生じるようなことはなかった。
D850でF8まで絞ってここまで解像すれば十分。これは安心して遠景用途にも持ち出せそうだ。

※8月17日追記



盆の二日間でそれなりに使い込み。発色の良さがやはり素晴らしい。解像に関しては収差でぼやけ気味だが開放から周辺部も結構鋭い。うるさいことを言わなければ十分使える。
ボケに関してはやはり癖が強い。小ボケから本格的にボケ始める境目で如実に荒れやすい。それ以外は滑らか。

ところで、非インナーフォーカス式MFレンズならではの問題に突き当たった。撮影距離が短くなるにつれて鏡筒が伸びるため、ピント位置によっては全長が相当伸びてしまい、バッグの微妙な凹凸に引っ掛かって素早い収納ができなくなる。スペースに余裕のない入れ物を使うと確実に一々引っ込める手間が生じる。
おまけに回転角が大きいので、引っ込めるのにかかる時間も結構大きい。AFレンズなら無限遠に合わせてAF-ONするだけで簡単に引っ込められるのだが…



カクカク。何気なく撮れた玉ボケでいよいよ絞り羽根の歪さの悪影響が出た。純正f/1.4ならまずこんな風にはならない。

公式ページ
Voigtlander Nokton 58 mm f/1.4 SL II - LensTip.com
Voigtlander Nokton 58mm f/1.4 SL II - Full Format Review / Test Report - OpticalLimits
懐かしいデザインのニコン用レンズ「NOKTON 58mm F1.4 SL II S」 - デジカメWatch

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